仙台市教育委員会
平成26年度 新たな防災教育推進協議会 
平成24〜26年度新たな防災教育モデル校の年間指導計画例〜
 仙台市教育委員会は,東日本大震災を踏まえて,児童生徒が自助・共助の力を確実に習得できるように,学校防災教育を充実させることを重要な教育課題と捉えて取り組んでいます。
 そこで,平成24年度には,市内の小中学校18校を新たな学校防災教育モデル校に指定して先進的な取組を実践するとともに,学校における防災教育の課題などについて検討するために,新たな学校防災教育推進協議会を設置しました。
 平成25年度は引き続き,新たな学校防災教育推進協議会を設置し,先進的な取組を進める17校の新たな学校防災教育モデル校とともに,文科省より指定を受け,「(仮称)防災安全科」の創設に向けた研究を開始した研究開発学校の七郷小学校をオブザーバーに加え,学校における防災教育の課題などについてさらに検討を進めました。
 平成26年度は,新たな防災教育モデル校が,平成27年度の年間指導計画の作成に取り組みました。作成した平成27年度の年間指導計画について,委員の方々の助言を踏まえ,作成上の工夫についてまとめました。今回掲載したことを各校の年間指導計画の改善に活かす際の手掛かりとしてください。
 
(1) 平成26年度 新たな学校防災教育推進協議会の構成
【委員】(11名)
   ・有識者(3名) 東北大学教授 東北工業大学教授 仙台管区気象台防災調査課長
   ・PTA代表(2名) 
   ・校長代表(5名)各区1名
   ・新防災教育副読本編集委員長 (1名)
【ワーキンググループ】(17名)
   ・モデル校担当者(防災担当主幹教諭または防災主任)各校1名
【オブザーバー】(2名)
   ・危機管理室参事
   ・研究開発学校 七郷小学校防災主任
【事務局】
   ・教育局(次長兼学校教育部長,学校教育部参事,教育指導課長,教育センター所長)
   ・教育指導課主幹及び主任指導主事

(2) 平成26年度 新たな学校防災教育推進協議会 1年間の歩み

年月日 会議名  内容 
26年4月24日 ・指定状交付式
・モデル校担当者会

・モデル校について説明

(ねらい,研究内容,予算等説明)
各校で取組開始 
7月24日

第1回
新たな学校防災教育推進協議会

・新たな防災教育モデル校の実施状況報告

(年間指導計画に位置付けた取組について)

発表・協議
11月19日

第2回

新たな学校防災教育推進協議会

・年間指導計画作成上の工夫と作成について
事例発表と協議

1月29日

第3回

新たな学校防災教育推進協議会

・全モデル校の年間指導計画暫定版の発表
発表・協議

3月17日 第3回国連防災世界会議 ・パブリックフォーラムへの参加(市民会館)
4月〜5月 成果の公開 平成26年度の成果をWEBで公開


(3) 新たな防災教育モデル校の取組を踏まえた年間指導計画の改善の視点
  @ 地域や児童生徒の実態に応じた指導計画
  A 単発のイベントではなく,通常の教育課程を基盤とした継続的な実践
  B 教科・領域本来の指導に防災教育を重ねる工夫
  C 防災教育として位置付けることができる教科や単元の選択とその適切性の確認

< 改善の視点を踏まえた年間指導計画 (例) >
小中  目指すべき児童生徒の姿  年間指導計画 作成上の工夫  学年 
東六番丁小 ・低学年 安全に登下校や学校生活を送る
      地域の人と元気よくあいさつできる
・中学年 危険を予知し,自分の身を守ることができる
      身近な人と積極的にかかわろうとする
・高学年 日頃から災害に備え,危険について考えることができる
      地域の人とかかわり,自分にできることを実践する
地域との交流・連携を基盤とした年間指導計画
(生活科・総合的な学習の時間を中心とした)

 2
 6
北六番丁小 ・地震や津波以外の災害についても,それらの仕組みや特性を理解し,危険を予測して身を守る力を身に付ける。
・自分の学習で身に付けた自助・共助の力が,主体的な判断・行動力になり,自分の生き方や地域貢献に結びつけていると実感できる。
・地域の方との交流を深めて,地域の方とつながって生きている。
・生きていくということを実感できる。
教科・領域本来の指導に防災教育を重ねる年間指導計画
 ※教科・領域の防災教育に関連する部分を(新しい活動とともに)つなぐ。
 5
荒浜小

・ふるさと荒浜のために自分たちがきることを考え,それを実践していく児童
・災害に対する意識を高め,進んで他の人とかかわりながら,地域の力となれる児童
地域性を生かせるように配慮した年間指導計画  3
桂小  ・日常的に身の周りの安全について考え,行動できる児童
・災害発生時に的確な判断をし,自らの安全を確保するために行動できる児童
・発達段階に応じて,進んで家族や地域の人とかかわり,地域の安全に目を向けることができる児童
教科・領域本来の指導に防災教育を重ねる年間指導計画  4
長町南小  ・その場の危険個所や安全な場所が分かり,自分の命の守り方や災害時の対応方法を知る。(知識)
・災害の状況に応じて自分の命を守る行動がとることができる。(技能)
・友達や家族,地域の人を思いやる気持ちを持ち,周囲の人々と共に防災活動に取り組むことができる。(態度)
地域性を重視した教育活動の充実を図る年間指導計画  1
 5
高砂中 ・震災の教訓を生かし,地域の復興につなげる主体的な防災活動の推進
 ⇒自分を守る,人の力になれる生徒
・小中9年間を見通した防災学習の推進
 ⇒正しい知識を身に付け,情報を活用できる生徒
・復興を通した地域貢献・交流活動の推進

地域の防災活動と連動させた防災学習の年間指導計画
 2
七郷中 ・災害に対する正しい知識や対応方法を身に付けた生徒
・非常時に冷静に判断し,臨機応変に自らの安全を確保できる生徒
・進んで他の人や地域の力になろうとする生徒
・地域の一員として中学生の立場で何かできることを考え,実践できる生徒
各教科・領域の特性を生かし,防災教育を重ねた年間指導計画
地域と連携した活動を位置付けた指導計画
 3
将監中  ・防災・減災に関連する知識を身に付け,さらにその知識を活用する方法を身に付けた生徒
・防災学習の重要性を認識した生徒
・災害時に地域の力となる,実践力を身に付けた生徒
・主体的に地域に貢献できる生徒
体験活動を重点にした年間指導計画
 1

(4) 今後の展開
 これまで,教育センターが実施してきた防災主任研修会と,平成27年度から設置する各地区防災教育推進協議会との連携を図り,新たな防災教育の各校の取組を充実させるための情報交換を推進します。
 さらに,平成27年度からは,1年間で区ごとに約5〜6校を研究推進取組発表校に指定し,平成32年度までの6年間で,市内すべての小中学校が研究推進取組発表校になるようにします。
 研究推進取組発表校は,学校・地域の実態に応じた年間指導計画を基に実践内容と児童・生徒の変容を防災主任研修会や各地区防災教育推進協議会,発表会,フォーラム,HPなどを通して,発信します。

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